特殊加工技術
特殊な嵩高加工糸製造業
強度を高めるために、細い繊維を集めてヨリ(撚り)をかけて作った糸が撚糸で、熱を加え、そのヨリを元に戻すと糸は柔らかく膨らんだ状態になります。これを嵩高(かさだか)加工と言いますが、この糸を使うとソフトな肌触りの生地ができあがります。このヨリに強弱をつけることで、さまざまな性質の糸が生まれ、生地にもバリエーションが生まれます。この工程が他社と差別化を図った弊社の得意とする技術であります。原料のナイロンは、すべて東レ(株)からの委託加工されたものを仕入れ、それに嵩高加工を加えた糸を商社に卸し、それがさまざまなニッター(織物業者)に販売されております。これが弊社の一連の事業の形態です。
パンスト用ナイロン糸
弊社の生産量はピーク時より減ったとはいえ、主要取引先である東レ(株)の市場シェアが伸びていることから全体が落ち込んでいるものの生産は維持しております。パンストにも様々な付加価値、たとえば部分的に足を圧迫する着圧機能をつけたパンストや遠赤を入れて微妙に保温性を持たせるといったものも市場に出回っております。ただ、パンストそのものが薄い生地の商品のため、糸にそうした(保温)機能を付加してもなかなか難しい面ありますが、着圧機能に関してはサポート性や履き心地の良さ、血行が良くなるといったメリットを感じるユーザーもおり市場性が高いと考えております。
独自の技術力を武器に輸出にも力
繊維業界とりわけ縫製関連の人員を多く必要とする企業は、中国への進出が早かったように思われますが、弊社のような装置産業的な業種の場合、人件費のコストメリットがないことや、電力供給が不安定なこと、原料の仕入れと売り先が掴めないといったことなど多くの疑問点があったことから単独での進出は検討しておりません。しかしながら、中国の市場規模は巨大でありますので、現状では中国にある日系企業向けの輸出は全体の数%程度にとどまっているものを、将来的には輸出ウエイトを徐々に拡大していき、市場規模の拡大を図りたいと考えています。
新時代に向けて
従来までの合繊加工糸業はメーカー系列であり、弊社の場合は東レ系列としてメーカーから委託される形態でありましたが、昨年、東レ(株)が立ち上げた合繊クラスターに仲間入りしました。その狙いは、新たなターゲットを絞ったものづくりに積極的に取り組むことで、横の連携が構築でき、その連携から生じる需要を少しずつ事業に繋げていきたいと考えております。とはいえ、自社の製品を自ら販売する販路を備えておりませんので、それをうまく商社に繋げることで、自社の新たな主柱に育てていきたいと、常に新たな展開を見据えています。ナイロンは合成繊維で原材料は石油であり、環境の観点からみると良いものでありません。今後は環境にいい穀物素材(原料)を使ったものづくりができるようなノウハウを身につけていく必要性を痛感しており、環境に配慮した新商品開発にも挑戦していきたいと考えております。新しい時代のニーズを的確にキャッチし、新しい発想と技術で他に類のないナイロン繊維を提供することで、国内はもとより海外においても高く評価される企業が弊社の目指すところであります。